たぶん恋、きっと愛



友典は、5分前には待ち合わせた場所に立っていた。

自宅から駅までは、歩けば10分はかかる。

途中で何かあるとは思いにくいが、ただ立って待っていると、僅かに心配になった。


あの、すぐ気を逸らし、いつでも何かを考えているような雅は、飛ぶ鳥を目で追い、咲く花に歩く速度が落ちる。

特に何かを言う訳では無いのだけれど、友典からいつも、遅れてしまう。

どこかのんびりした雅が、はっきりと凱司の痕を残していたのを見た時には、不覚にも動揺してしまったが、その時は、凱司の痕だと確認したわけではなかった。



だから。



時計が時間ちょうどを指して、雅が現れず、迎えに行けば良かったかな、と。
彼女の最寄りの口まで降りた時に。


少し離れた場所に立つ雅を見つけた時に。




黒い長い髪の男に一瞬キスをされたのを見た時に。




何か、凍り付いた気が、した。



アレは、誰だ?

アレは、………鷹野一樹?
 



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