たぶん恋、きっと愛




「…明日の事、なんですが」


帰りがけに、外に見送りに出た友典は、意を決したように口を開いた。



「明日……凱司さんは…」

「居ないな」



鷹野から、既に聞いている。
友典が、心配していると。

主に、夜を。



「………あの」

「いいんだ」

「…え?」


「泣かしゃしねぇだろ」

俺と違って。


と、独りごちた凱司に、宇田川はぴくりと眉を上げるが、何も言わなかった。



友典は、視線を落とし、納得しかねるのか、すぐに真っ直ぐに目を上げて凱司を見つめ、口を開きかけた。


凱司は、友典の頭に右手を置き、その目を至極真面目に受け止める。



「俺のもんに変わりはねぇ」

「……あたしの話ですか?」



“俺のもん”というキーワードに、自分の話かと目を上げた雅は。

なんでもねぇよ、と苦笑した凱司に左手で頭を撫でられて。


右手の下にいる友典に、いまいち解っていない時によく浮かべる、曖昧な笑みを、見せた。
 


< 552 / 843 >

この作品をシェア

pagetop