たぶん恋、きっと愛
息が止まったかのように。
立ち尽くしたまま、雅も鷹野も。
ただ凱司を見つめていた。
凱司はこちらを見ないまま。
後悔したのか、煙草をくわえ、髪に指を突っ込むように肘をついた。
「髪…乾かそうか、雅ちゃん」
鷹野は囁くように、雅の肩を抱いて、座らせる。
無言で、ひたすら凱司を見つめ続ける雅は何を思うのか、されるがままに髪を解かれて。
気まずいまでのドライヤーの音のする間、大して動きもしていない凱司から、一度も目を、離さなかった。
鷹野は、思う。
こんなに入れ込むとは、さすがに思わなかった、と。
確かに可愛い子ではあるけれど。
凱司にとって、そんな事は。
大した意味もないだろう。
そもそも。
自分の女でさえ、この家には寄り付かせない凱司が。
住まわせる、だと?
俺とは、違う。
この子は‘女’なのに。