たぶん恋、きっと愛
どのくらいそこにいたのか、あれから誰も、来ない。
来ないのに、いまだ金髪の“ガイ”は動こうとはしない。
…お腹、すいた…。
刺青も見えないし…
気が付けば、夏の遅い夕暮れも終わり、いくつかの星すら瞬いていた。
“ガイ”がふと空を見上げ、ようやくゆっくりと立ち上がる。
その、身長。
大きい人だなとは思っていたけれど、その身長は、少女の予想を超えていた。
肩に掛けたギターとのバランスが悪い気すら、する。
ひょろり、ではない。
猫背でも、ない。
堂々とした、やや筋肉質に見えた体を一度伸ばして“ガイ”は。
少女がそこにいないかのように。
視線を寄越す事もなくゆっくりと。
立ち去って行った。