たぶん恋、きっと愛


「……だから?」

由紀が、友典の腕を掴む。


「だから、嫌わないでくれとでも、口走る気ですか?」


きっぱりした口調の中に、苦渋を滲ませて、由紀は、ドアから友典を引き剥がした。



「それ以上の事を、勢いで口に出してはいけません」

例え、雅さんに聞こえて居ないとしても。


それで失敗したばかりでしょう。



ドアの向こうで、雅は耳を押さえて、頭を振る。

唇を読むことに慣れている鷹野には、ごめんなさい、ごめんなさい、と繰り返す雅の声が、聞こえる。



「友典……少し、落ち着きな」


鷹野は、小さく息を吐いた。

いくらなんでも、一瞬で燃え上がりすぎだ。

いろんな理屈をこねようと、捻りだそうと、紛れもなく雅に特別な思いがあるのだろうに、こんなに空廻る男も珍しい。



「難しい事も、しがらみもとっぱらって、男として考えてみな」


凱司が、帰るまで、ゆっくり。


俺も、そうするから。

な?




ガシガシと友典の頭を乱暴にかき混ぜると、鷹野は。
由紀に小さく頭を下げ、ドアを開けて、また閉めた。
 



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