たぶん恋、きっと愛
浴室は案の定、排水しきれない湯で、なみなみと。
全てが白く、曇っていた。
雅は鷹野を見ないまま、そんな浴室に踏み込むと、自動制御されていない蛇口からの湯を、止めた。
ちゃぷちゃぷとタイルに溢れた湯は、雅の足首ほどまで。
排水口に吸い込まれるまでは、さほどかからないだろう。
「………白い…入浴剤、入れても良いですか?」
依然、鷹野を見ないまま。
雅は硬い表情で、浴室内の棚からプラ容器に入った液状の入浴剤を、手に取った。
「…………いいよ」
何か、違う少女を見ているようで、鷹野は僅かに眉をひそめる。
痛々しい。と。
そう、思った。
投げ捨てるように、ストローを数本、浴槽に放り込んだ雅は、量を量りもせずに、容器から直接、たらたらと流し込む。
煙草の煙のように、なめらかに溶けた入浴剤は、浴槽を、白く濁らせ、甘い香りを立ち上らせた。