たぶん恋、きっと愛
雅の、髪。
少し癖のある、細めの髪。
鷹野は指先で1房つまみ上げて、くるくると指先に巻き付けて遊んでみる。
「……こんなに安心されちゃうのも不本意だなあ…とか俺は思うけど?」
眠ってしまった雅を起こさないように、声を落として。
凱司を責めるように見た。
「………こいつがガキじゃなくて女だって言いてぇのか?」
「いや」
俺達が、男だ、って事だよ。
自分の長い髪をかきあげて。
鷹野は溜め息を付きながら立ち上がり呟く。
「ヤりたくならない自信なんか、ないよ」
と。
凱司は、眉間にしわを寄せて。俺は…と考える。
猫の子のように拾ってきたはいいけれど。
日に日に暮らしに慣れ、あからさまに自分になついてくると。
なんだか妙な気分になる時が、確かにある。
ある、けれども。
思えばあの時。
キスをしたのは、自分。
その位の事は、したいのかと思ったから。
ただ。
体を売る割りには、妙にあどけなくて。
男慣れしているはずなのに、激しく動揺した雅に。
その中に、怯えのような色を濃く滲ませた雅に。
見た目通りのガキで、手を出してはいけない、と。
感じた、だけだ。