たぶん恋、きっと愛
「………花火…大会?」
「明日、ちょっと場所離れてるけど、あるよ。行く?」
丸底フラスコに挿された、折り鶴蘭。
水の中で伸びる白い根が、夕方の光を反射して、キラキラしている。
「明日……花火大会?」
雅はその水を替えるつもりらしく、手に持ったまま、動きを止めた。
なんてことない話の筈なのに、急に青ざめた雅を、凱司は黙って、探るように見ている。
「…ごめ、なさい…行かない」
絞り出さないと声が出ないかのように、小さな声で言う雅の指が、微かに震えている。
「………雅ちゃん?」
自分の振った話の何処に、こんなに怯えた目をするのか解らないけれど、鷹野は一歩、雅に近付いた。
途端。
小さく悲鳴のような呼吸をして、雅が一歩後ずさる。
「…雅?」
凱司も、尋常ではない雅の様子に眉をひそめ、持っていた煙草を押し消した。