たぶん恋、きっと愛
由紀の運転する車は、躊躇うことなく、雅の部屋のある家へと、すべりこんだ。
広いガレージは、打ちっぱなしのコンクリートがむき出しで。
吹き抜ける風は、連れてこられた時のように、冷たく感じた。
ひとつのポストに、ふたつの名前。
笠島、鷹野、と。
それも、変わらない。
雅は思う。
ここに、自分宛ての郵便が届く事はない。
必ず友典が、手渡してくれる。
たかだか半年。
自分は、ここにいても良かったんだろうか。
心配ばかりかけて。
一旦引き受けた事を投げ出すとは思えない凱司に、大きな負担を強いたんじゃないだろうか。
「…由紀さん」
「なんですか?」
きゅ、と。
包帯の巻かれた手を握り、唇を噛むかのような切羽詰まった表情で名を呼んだ雅。
返事をした由紀の言葉は堅いけれど、夫である章介同様、響きは柔らかかった。