たぶん恋、きっと愛
「…あたし…我が侭言っても…捨てられないでしょうか…」
「捨てられる?」
由紀は、ころころと嫋やかに笑う。
停めた車から、降りようとしない雅を覗き込み、大丈夫ですよ、と。
「どんなに無理だと思えることでも、一歩踏み出してみれば、案外うまく行くものです」
章介さんが私を得た時も、死ぬような覚悟で踏み出してくれましたよ、と微笑む由紀を、雅は 黙って見つめた。
「…私の父は、先代の弟なんです。だから…素性も知れないような章介さんが、どうにかできる筈がなかったんです」
でも踏み出してくれた。
もちろん私も、踏み出した。
互いに信頼して踏み出せたからこそ、得る物も大きかったと思っています。
「大丈夫です。大きな意味で、凱司さんはとっくに踏み出してくれています」
あなた方が進めるように。
道を塞がないように。
あとは、あなたと、一樹さん次第だと思いますよ。