切端詩集 断片的な虚構
赤く笑う



『赤く笑う』


狂った女の哄笑に見えた
夕闇に口を開ける真っ赤な半月
少しだけ非現実を夢見たかった
大地を踏み外さないその程度に

都合の良い願いがもたらす
都合の悪い事態

現実こそが狂気なんだと
退屈を喪ってから僕は気づく
大地すら幻想なんだと

笑う半月
崩れ落ちる場所は
もう僕には無い
















< 11 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop