切端詩集 断片的な虚構
翻弄癖




『翻弄癖』


残酷で軽薄な男に
嬲られ続ける君を
俺は眺めている
痛いのが好きで
溺れてるから
もう生きることを
どこかでやめたいから
君はどんな目に遇っても
焦がれ続ける

「優しくされるのがいやなんだ」
いつもそう言うんだな
「僕をスキなんて気持ち悪いな」
君の得意の決め台詞だ

うん大丈夫
俺は愛してるなんて
言わない
焼けただれた君が
断末魔の叫びをあげるまで
待っている

君が一度だけ俺に
錯乱しながら言った
見捨てないでという言葉
真に受けてやる
君はもう忘れているだろう
その方が
きっと良い
俺に見捨てられないことが
どんなことかを知るためには








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