あたしが見た世界Ⅲ【完】
「……実は……夜一は渚に、異常な程の愛情を注いでんだ」
「!?」
余計分からない。
異常な程の、愛情?
リュウ兄の眉間にあるシワが影をつくる。
「狂恋、執着、歪んだ愛情……ってとこかな」
ふう、と息をついて父さんは言った。
「……ストーカーかよ…」
リュウ兄がそう言ってあたしはあることを思い出した。
一部のストーカーがターゲットを殺すのは、異常に愛するが故の行動だと。
「…まぁ、夜一がそうなったのは、俺が原因なんだけどな」
そう言って父さんは、目を落として申し訳なさそうな顔をした。