あたしが見た世界Ⅲ【完】
なんて考えていると、ガチャリとドアが開く音がして、誰かが入ってきた。
一人だけ。
「あ、やっと起きたんだ?二回くらいゆすっても起きないから死んだかと思った」
――人を勝手に殺すなよ
俺は切実に思った。
「うー」
実は俺、両手がロープみたいなもので縛られている為、手の自由が効かないのだ。
「え、なに?ロープ外せ?ダメなんだってー、俺が総長に怒られるだろー」
彼はヘラヘラ笑いながら言う。
――てか、違うし
俺は半目になる。
――俺そんなこと言ってないし
「不満そうな顔だね、君が言ってたことと違ってた?」
「うー」
「そっかー、ごめんごめん」
「うー」
「え、なになに?」
「うー」
「さっきから『うー』ばっかだから何言ってんのかよく分かんないー」
――だったら取れよ、このガムテープ