超能力者は暇ではない
 
「いやいや、いいですよ!直接話が聞けただけでありがたいですから」

リオが言うと、さっきの齊藤とかいう女子が再び近付いてきた。
今度はもう一人、小柄な女子が隣にいる。

「アンタ達がなんでそんなに必死になって小高のこと調べてるのか知らないけどォ、多分アイツが消えて悲しんでる奴なんかいないっしょ?」

齊藤がケラケラ笑いながら言うと、隣にいる傷んだ茶髪の女子もクスクス笑いながら頷いた。

「どういうことだよ?」

京が尋ねると、傷んだ茶髪がフフッと笑いながら言った。

「だって、あの先生みんなに嫌われてるじゃん。私もキーホルダー没収されたし、最悪だよね〜」

クスクス笑いながら話す二人を野口が止める。

「齊藤さん、坪田さん、あなたたちはあっちに行ってて!……まあ、小高先生が嫌われてたってのは否めないけど……」

野口は前髪を耳にかけると、京とリオの目を交互に見て言った。

「……また、何かあったら来てくださいね」

「え?は、はい……」

京とリオは戸惑いながらも教室を出ると、再び周りの痛い視線を浴びながら廊下を歩き出した。

「うーん……思ったより情報が少ないからなんとも言えませんね……」

がっくり肩を落としながら歩くリオを励ますように、京が口を開く。

「ま、いいじゃねーか。生徒の感想なんてみんなあんなモンだよ」

京に優しい笑顔を向けられ、リオが頬を染める。

「京様……やっぱり京様も僕のこと大事に思ってくれてるんですね……」

「でもまあアレだよな〜。関根?って奴が消えたのは職員会議の最中だから職員に聞き込みしなきゃなんだよな……」

「そうなんですよね……それより京様、今夜は僕と一緒にホテルに」

「職員に聞き込みするとしたら、今みたいに生徒のフリをするのはリスクが高いから無理だな…。かと言って職員のフリはできない」

「ですよね……それでですね京様、僕を抱くとしたら、どんなシチュエーションがいいですか?」

「ま、アレだよな。警察のフリをした所で怪しまれるのは確実だし、他に何か方法は……」

「京様、さっきから全く話が噛み合ってないんですけど!なんですか!?僕に警察コスして欲しいって遠回しに言ってるんですか!?」

「せめて近くに蝶ネクタイのメガネチビがいれば、そいつを見た目は子供、頭脳も子供の某名探偵に仕立てるんだけどな……」

「だから人の話を聞いてくださいってば!!あとそれ、見た目は子供、頭脳は大人ですから!!」

廊下のど真ん中でギャーギャー騒ぐ二人の肩に、誰かが手を乗せた。

「君たち、どこのクラスの生徒さんかな?」


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