ロマンチックに欠く女


「違います。
先輩の前で隙を見せた自分に有り得ないと言ったんです」



「慣れない嘘吐くとこうなるので覚えておくよーに」





だって、どう見たって日向のあの表情は“迷惑”という表情ではなかった。

いつも俺に嫌だの迷惑だの言っている表情とは明らかに違った。



…本当は、そっちも照れ隠しの顔とかしてくれたら良いんだけどなぁ…ま、それはおいおいという事で。





「何で日向がそんなに俺の贈るバラを気に入ってくれているのかは分からないけど、でも迷惑じゃないんだろ?」



「………」





沈黙は肯定の証なり。





「―――でも…その、よくよく考えたら先輩のお金を毎日こんな…使ってもらうのは嫌です」




ここで申し訳ないですと言わないのが彼女らしい。





「まぁ、俺への愛を毎日感じた――「違います」分かるけどさ、俺がどんなに日向に愛を捧げて――「不必要です」バラはやっぱり贈るから」





凄い。
俺の名台詞の中に2回も彼女の美声と言う名の照れ隠しが入った。


…ホント、俺の彼女って照れ隠しが多いよね。
< 39 / 66 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop