”オモテの愛” そして ”ウラの愛”
6.心の奥底

   *

暁子とは飛び込みで入ったバーで知り合った。

独りカウンターで飲んでいて、バーテンと話している様子が気に入り、声をかけた。

深い仲になるのに時間はかからなかった。

急速に夢中になり、毎晩のように彼女の部屋に通い、今夜も暁子の部屋に来ていた。

ソファーの上でくっつきながらiPadをスクロールさせ、週末にどこに遊びに行こうか相談をする。

無粋に成介からの着信で携帯が鳴り、電源を切っておかなかったことを後悔した。


「なんだよ」

「ジャマしたようですね」

「気が利かない」


言い返すと、やれやれといったため息が聞こえた。
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