”オモテの愛” そして ”ウラの愛”

「駄目。
 想像できない。
 口説くより罠にはめるしか想像できない。
 もしかしてはめたの?」

「綺樹。
 仕事をしろ」


強い口調で言われて肩をすくめた。


「でも、フェリックス。
 私が誰かと結婚して、おまえを追い出すことを画策したらどうするの?」


目が笑いながら挑むように光っている。

フェリックスは鼻先で笑った。

そう、だから自分は迷っているのだ。

綺樹の涼への想いを断ち切ってしまうことに。

その想いを、消さぬよう、煽らぬよう、上手く綺樹の中にくすぶらせる。

そうすれば綺樹は誰とも結婚しないだろう。
< 25 / 241 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop