”オモテの愛” そして ”ウラの愛”

「仕事、してる。
 ほら、このスペイン政府経由の美術品貸し出しの件。
 OKを出した」


綺樹は書類をフェリックスの目の前のテーブルに放った。

フェリックスの眉が曇った。

日本の美術館が主催する美術展への協力要請。


「値段はふっかけといた。
 欲しいだろ。
 外貨」

「あまり賛成しない」


綺樹はこれを理由に日本へ行くだろう。


「そう?
 貸し出すときに帳簿と照合ができる上、得られる金で美術品管理についてはデーターベース化する。
 その人員と費用も含めておいた。
 ちょうどいいだろ?」


そこまでのいい条件で反対する理由はない。

フェリックスは肯定するしかなかった。

たとえ嫌な予感がしても。

瀕死のウルゴイティを救うことが、第一だった。

とりあえず、今は。
< 26 / 241 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop