”オモテの愛” そして ”ウラの愛”
3.”なんでもない”からの結末

 *

この点は似ているよな、と思う。

自分も綺樹も、ふと思いついても、電話もメールもするタイプじゃない。

だからロンドンで別れてから、何もなかった。

このまま、再び綺樹と会うことはないかもしれないと思う程に。

それでも連絡をしようとはしなかった。

抜け出したかった。

綺樹を自分の中で“なんでもない”存在にしたかった。

自分を見失い、最低な男に成り下がるのは、もう御免だった。

自分には綺樹以前の男女関係で十分だった。

何人も関係がある女性はいても、彼女ではない。

特定の一人と深入りしない。

綺樹と出会い、過ごした時間を思い出さぬように、強硬的に目を逸らし、大学生としての新しい毎日を過ごしていた。
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