正夢絵本
沙耶はドキドキしながら徐々に徐々にとめくっていく。そしてそこに最初に現れた文字は“特”であった。


「うそ…」


特。つまり特賞。そう確信した沙耶は満面の笑みで残りを一気にめくった。


「やったー!!」


沙耶はその場で跳ねて喜んだ。そして自分のくじをもう一度確認して係員に見せようとしたとき、沙耶は我が目を疑った。


「……ぅへっ!?」


あまりの衝撃に思わず変な声を出してしまった。


「……特………別……賞……」


次の瞬間カランカラーンと鐘がけたたましく鳴った。


「出ましたぁ!特別賞!!おめでとうございまーす!!!」


係員がブンブンと鐘を勢いよく振り回す。すると回りにいた人たちから拍手が湧き上がった。


「…特別賞って何?」


沙耶は前のパネルで特別賞と書いてあるところを探した。するとそこには『北海道旅行』と書いてあった。


「はいどうぞ!賞品の北海道旅行ペアチケットです。」

「あっ、はぁ…どうも…。」


沙耶はなんとも複雑な気持ちでそれを貰うとその場を後にした。
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