My Sweet Home

出会い

山の上の丘にアイリーンが引っ越して来たのは、ちょうど学校が夏休みに入った頃だった。
アイリーンの家族はお父さんとお母さんと妹の4人家族で、私の家族とは違いとても仲むつまじく見えた。

メアリーはいつも一人で山の上の丘に遊びに行くのが日課で、お花を積んだり、ふかふかの原っぱに寝っ転がったりするのが楽しみだった。

ここなら意地悪をする男の子も、酷い言葉を浴びせる女の子だっていない。
天国って所がどんな所かは分からないけど、とても楽しくて良いところだと本で読んだことがある。
天使はいないけど、メアリーにとってはここが天国のように思えた。

わたしの大切な秘密の場所。
メアリーはこの場所をそう呼んでいる。

こんな素敵な場所に誰も来ないのには理由があった。
丘を登ると、とてもとても大きなお屋敷があるのだ。
人が住んでいる気配もなければ、誰かが出入りしているのを見た人もいない。
それを気味悪がってメアリーの同級生の間では、お化けがいるだの幽霊が出ただの、悪い噂が絶えなかった。
だけどその噂はメアリーにとって好都合だった。