In the warm rain【Brack☆Jack3】
 非常階段をもう少しで登りきるところで、ミサトはチッと舌打ちをする。


「なぁるほどね」


 踊り場に無造作に置きっぱなしのライフル。

 その周りには、赤外線スコープやその他の細かい装備品も散らば っていた。

 当然、狙撃手の姿はどこにも見えなかった。

 ミサトはライフルを拾い上げた。

 そして、さっき自分達が狙撃された場所に向かって、それを構えてみる。

 距離を見て、あきらかに素人ではないのをあらためて認識した。

 だから、この残ったライフルや備品を調べたとしても何一つ証拠になるようなものはないのだろう。


「…ん?」


 ライフルのスコープを覗き込み、ミサトはレイの姿を見た。

 レイは携帯電話で何かを話している。

 その表情は 、何か怒っているようだった。

 やがてレイは携帯を閉じ、後ろで結んでいた髪の毛を解く。

 そして、こっちのほうを見上げた。
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