In the warm rain【Brack☆Jack3】
「嫌ァっ…」


 …かたん。

 少しの物音が聞こえた。

 いくら布団をかぶっていたからといって、その声はかき消される訳もなくて。


「…何よ…」


 頭からかぶったままの枕は、そのままで。

 気配でわかる。


「何か文句でもあるの、レン?」

「――…いや」


 今日はもう店じまいだ、と言って、レンは部屋のドアから姿を消した。

 ミサトは、ゆっくりとベッドから起き上がる。

 薄暗い部屋で、手のひらを目の前に持ってきて、それをじっと見つめる。

 そしてその手で、自分の肩をきつく抱いた。


「…ずっと…一緒に、いてね…」


 もう、一人になるのは嫌だから。

 本当の自分は、一人きりが平気な人間じゃないから。

 だからずっと――。
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