In the warm rain【Brack☆Jack3】
☆  ☆  ☆




 チケットが用意されてすぐに、エイジはエアポートに向かった。

 一人取り残されたユイは、オフィスの自分のデスクに座る。

 そして一番上の引き出しを開けて、手のひらに乗るくらいの大きさの小さな箱を取り出した。

 中には、鍵が一つ入っている。

 今では、敬愛する祖父 の形見のような鍵だ。


「おじいさま…」


 その鍵を手に乗せて、ユイは呟く。


「そうよね…あなたが望んでいた事は…何もかもを壊す 事だった…」


 ハクが望んでいた事。

“ホン・チャンヤー”の壊滅、そして、自分達が笑って過ごせる時間。

 だが、本当に望んでいた事は。
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