In the warm rain【Brack☆Jack3】
 その背中から、どくどくと血が溢れていた。

 倒れていた息も絶え絶えの戦闘員の一人が、エイジに向けて発砲したのだ。

 だがエイジは立ち止まったまま、動こうとはしない。


「ったく…」


 大きく息を吐き、エイジは呟く。


「何の為に、そこまでしてこんなクソ組織に肩入れしなきゃならねェんだよ」


 自分に向かって、最後の力を振り絞って引き金を引いた。

 この船に乗っている戦闘のプロなら、それがどういうことか分かる筈だ。

 この男、引き金を引けば自分が殺されるというのを分かっていて、わざとそうした。

 こんな傷ついた相手を殺すのは容易い。

 だがエイジは、動かない。
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