In the warm rain【Brack☆Jack3】
「エイジが店を辞めたんじゃ、料理は出せないよね…これからどうしよっか?」

「卵料理専門店にすっか?」

「あ、それいいかも」

「嘘だろ…」

「当たり前でしょ」


 ミサトの言葉に、レンはほっと胸を撫で下ろす。


「でも、他人事じゃないね。料理ができる人、雇ったほうがいいかな」

「そりゃいいかもな」


 それから小一時間後、ミサトとレンは店の入り口に、料理人募集の貼り紙を貼った。


「これでよし」


 ぱんぱん、と手を叩きながら、ミサトは満足そうに笑う。


「…なァ」


 店に入り、レンの呼び掛けにミサトは振り返る。


「何?」

「その傷、どうしたんだ?」


 ミサトの手の甲の絆創膏に、レンは視線を落とす。


「あぁ、これ? 昨日ちょっとね」

「…転んだとか?」

「違うって。強盗が入ったの」

「ここにか?」


 レンの言葉に、ミサトは頷く。
< 30 / 221 >

この作品をシェア

pagetop