In the warm rain【Brack☆Jack3】
「エイジまで…ったく。もうそんな時間なの?」


 ダウンタウンの片隅。

 ここは一年前、ある居酒屋があっ た場所だった。

 出来たのは最近だったが、建物の造りはわざと古びた雰 囲気を醸し出していた。

 そしてその入り口のドアの上には。


『AGORA』


 こう書かれた真新しい看板が、掲げられていた。


「じゃ、仕込みでもしますか」


 腕まくりをしながら、エイジはキッチンに入っていく。


「じゃ、レンは掃除ね」

「なんでテメェに命令されなきゃならねェんだよ」

「あったり前でしょ、この店のオーナーはあたしなんだから」

「出資者はユイだろ」

「…そうでした」

「じゃ、お前も掃除、な」


 ぶうっと膨れっ面で、ミサトはモップを手に取る。


「そういえば最近ユイに会ってないよね、エイジ?」


 キッチンのエイジを振り返り、ミサトは聞いた。
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