In the warm rain【Brack☆Jack3】
「…なんだか嫌な予感がするのよ…」


 コーヒーカップを両手で包み込むように持ち、ユイは呟いた。

 エイジはそっとユイの肩を優しく抱く。


「…あァ、俺もだよ。だがユイ一人で抱え込むことはねェ…俺がついてる」

「そうね…」


 ありがとう、とユイは頭をエイジにもたれかけた。


「でも、どうして?」


 その態勢のまま、ユイは静かに聞いた。

 何が? とエイジは聞き返す。


「夢だったんでしょ? コックをやることが…昔から得意だったものね、料理することが」


 レンと、エイジと、ユイ。

 三人で暮らしていた頃は、いつもご飯を作るのはエイジの役目だった。

 そして、その料理はいつも絶品で。

 それを誉めると、エイジは嬉しそうに笑って。


『いつか、落ち着いたらレストランのコックにでもなろうかなァ…ま、夢のまた夢だけどな』


 半分冗談混じりに、そんなことを言っていた。
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