In the warm rain【Brack☆Jack3】
「どういうこと?」

「明日になれば…わかることさ…」

「はっきり言いなさい!」

「さァな…!」


 男はいつの間にか手にしていたナイフを、ミサトに向かって振り下ろした。

 だがミサトは軽くそれを避けて、 男の顔面にパンチをお見舞いする。


「…あ、しまった」


 鈍い音がして、男は鼻血を出しながら気絶した。

 手を離して立ち上がると、ミサトは端っこに置いていた傘を拾う。


「ったく…組織にいた頃と違って最近はどうも感情的になっちゃうんだよねェ…」


 もはや傘などささなくても、身体の濡れ具合は何も変わらないような気がするが。


「でも、雨って…好きだな…」


 傘を閉じて、空に手をかざす。
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