In the warm rain【Brack☆Jack3】
「ハァイお嬢さん、お名前教えてくれるかな?」


 厨房の中で働くレイに向かって、エイジは砕けた調子で声をかけた。

 その時、目の前にどん、とビールのジョッキが叩きつけられる。


「彼女の名前はレイよ。ホント、真面目によくやってくれてるわ」


 声音こそ優しいが、ミサトの目は決して笑ってはいない。

 エイジは心持ち後退りしながら、強ばった笑顔を返した。



「おいおいミサト、ひょっとしてジェラシー?」

「!!!?」

「やっぱ俺がいねェと淋しくてしょうがねェとか?」


 ミサトの肩を抱いて、エイジはその耳元で囁く。

 かあっと顔が赤くなり、ミサトは思わずエイジから離れた。
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