メルヘン侍、時雨れて候
ちゃわんちゃわんと笑いながら犬を触るメルヘンさんを眺めておると、ああ、自分にもこういう、若いときがあったのだなぁとしみじみと思っていると犬の方を眺めながら犬に向かってメルヘンさんはこんなふうなことをいった。

「あしっね、あしたから向かいの山田さんに仕事紹介して貰って、ちゃわんとこうやって笑っていられるだけのお金をかせごうと思ってる。今はね。

不思議ですよね。最初ここを飛び出して、いろいろありまして……また、ここに戻ってきたときはね、僕のことをキライでもいいし書く話がつまらないといわれるのもかわない。だけど、僕の書く話をってね。……いや、なんでもないです。

でね、玄関が直ってて、あわす顔もなくて、まぁ帰って……あのーなんとかかんとかやってみようかなとか思ってたわけですよ。言ってスッキリするのも違うなと思ったので」

「もういいよ、メルヘンさん」

「よかないです。なにもよかないのです。聞いて下さい」

「わかったから、二月まで、ちゃわん君あずかるから、三月になったら引き取りに来て下さい」

ちゃわんはメルヘンさんの顔をペロペロとなめた。




【完】


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