シークレット・ドア
タイトル未編集

シークレット・ドア

カシャッ

「ん、何?写真?」
「うん。最近はまってんの。チェキ。」
「あー、好きだよねー女の子って。そういうの。」
「楽しいよ、すごく。いつまで続くかわかんないけど。」
「はは、ミーハー」
「あ、ゴム、捨ててくるよ。」
「げっ、いーよ、俺がやる」
「いーからいーから。はいっ貸して。私シャワー浴びてくるからベッドで寝てて。」
「はいはい。慣れてんなー。じゃ、寝とくわ」
「はーい」

パタンッ

「岡田俊、27歳。美容室アシスタント…27でアシスタントねぇ」
現像した写真、使用済みゴムを、壁に押しピンで留める。
この作業をいつからだろう、私はふと気づいた時から行っていた。

カチャッ

しっかりと鍵を閉め、リビングへ戻る。
男の隣で寝て、明日は何事もなかったかのように日常へ戻る。
何事も、跡形もないように。

――――

「市野さん、これコピーかけといて」
「はい!」
いつも通り、元気よく、ニコニコ笑顔で作業は全力。
「市野さーん、ま~た口にソースついてるって。お昼何食べたの~?」
「わっ!恥ずかしい。豚カツがっついちゃいました~」
ははは、と笑いが起こる。
えへへ、と私は照れる。
「めぐちゃんはほんと、ゆるキャラ系だよね~」
「えっ、癒し系ってことですか!?」
「こらっ。チョーシに乗らない!」
「え~、だって~」
「上司にだってなんて言わないの~」
えへへ。
うふふ。
私はいつだって笑顔。おっきく笑って、「みんなの愛されキャラ」のポジションなんだ。
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