らぶ・みー 
その一言は、私にとっても、彼にとっても、とてつもなく重い言葉だった。

知られてしまえば、愛する人の大切なものを壊してしまう。

愛してるから、悲しむ顔を見たくない。

その気持ちは痛いほどわかる.......



「彼が奥さんを愛していないなら、何とかしようと思うのかもしれない。でも、多分、私の為に彼は奥さんと子供を手放せない。だから、いいの。一緒にいる時だけ独り占めできれば.....。」

「.....益田さん。」

「お願い。もうちょっとだけ、彼と一緒にいさせて。」

「.....わかった。」

「ありがとう。」

「でも.....益田さん、そんなの辛くない?」

「愛しちゃったから.......。」



益田さんは笑顔になると、小さく手を振って、エレベーターに向かって歩き出した。
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