らぶ・みー 
夫は私が浮気をしていたことを、何となく気付いていたようだ。

わかっていて言わなかったのは、多分、くだらないプライドのせい。

無駄にプライドの高い夫は、自分の妻が不倫をしているなんて認めたくなかっただけだ。



夫は「私」と結婚していたのではなく、絵に描いたような「幸せな家庭のパパである自分」と結婚していたのだと思う。

極端に言えば、世間体の為に結婚していたようなものだろう。

だから、夫の理想の世界には、浮気をする妻なんて存在してはならないのだ。



とは言っても、結婚当初はお互いに多少なりとも愛情を感じていたはずだし、私は飾り物みたいな奥さんになりたくなかったから、歩み寄ろうとした時期もあった。

でも、ちゃんと愛してもらえなかったから、いつの間にか、夫と一緒にいる理由がわからなくなっていた。

夫のどこが好きだったのかも、忘れてしまった。
< 296 / 325 >

この作品をシェア

pagetop