*9月26日* ―それでも君が好き―




「仲が良いこと程に素晴らしいことはないさ。」


剛が自信満々に答える。


友達から彼氏に変わると 剛は私の知ってる剛と少し違うように見える。


こんなにも男らしかったのかな。


背もこんなに高かったんだ。


手だって大きいし 筋肉質な体は見た目ほど細くはない。


目だって 黒い瞳は力強くて 何もかも見抜かれてしまいそう。


低くて優しい声は 他の子には聞かせたくないくらい。


あぁ 私ってばこんなにも剛が好きなんだ。


全部 全部 ずーっと私のだったらいいのにな。


ぽーっとそんなことを考えていた。


「ずっと…ずーっと……。」


小さな声は周りの音にかき消された。


「あぁ こんなにも好きだよ。」


更に小さな声で 小さく伝える愛。


何より温かく儚い想いが ずーっと続けばいいのに。


本気で思っています 今の私は。


だけど 出会いは近付いていた。


私を狂わす人物との出会いは 確実に。


運命とでも呼びましょうか。


いいえ そんなにキレイなものではない。


それは 何より残酷で哀しい想い。


だけど 出会ってしまったの。


……あなたに。




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