君と本気のラブゲーム



それから、1時間くらいしてようやく教室の片付けが終わった。


3日間神経使って一生懸命作ったものも、崩すのは簡単なんだよね。


「綺深ー、嘉乃ちゃーん、後夜祭始まっちゃうよー!」


「あ、うん!先に行ってて!」


わざわざ呼びに来てくれたクラスの女子にそう返して、私と嘉乃は教室の鍵を閉めた。

これから、職員室に鍵を返しに行かないといけない。




「後夜祭かー。めんどいねー」


人の気配のほとんどない、寂しい廊下を歩きながら、嘉乃がそう言った。


一昨日、樫野くんとこの同じ廊下を歩いたけど、その時とは比べ物にならないくらいの静けさ。


「まあねー。でもほら、私たちみたいに独り身じゃなくてちゃんと青春してる子たちにとっては、むしろこっちがメインなんじゃない」


「いいもーん。私にはアヤがいるからー」


そう言って、嘉乃が私の腕に自分の腕を絡ませてきた。


そんな嘉乃に、思わず笑顔になってしまう。


「私も、嘉乃がいるからいっかー」

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