君と本気のラブゲーム
「…み、綺深!!」
「っ!!」
走って。
走って、走って、本館の端にまで辿りつこうか、というところで、ぐいっ、と後ろから強く腕を掴まれた。
それが誰かなんて、顔を見なくたってわかる。
……だって、好きな人の声だもん…。
「綺深、なんで逃げるの」
「……だ、だって…」
ひっく、と嗚咽が漏れた。
京佑くんが追ってきてくれたことが嬉しい半面、なんだか、樫野くんに対する罪悪感が積もっていくような気がして。
そんな自分が嫌で、涙が出た。
「…泣いてるの?」
私は腕を掴まれたまま、京佑くんの方は見ていなかったから、きっとその微かな嗚咽に驚いたのだろう。
京佑くんの声には、驚きとほんの少しの戸惑いが含まれているような気がした。