ラピスラズリの恋人
「理人、さん?」


遠慮がちに疑問形で紡がれた名前に、心が鷲掴(ワシヅカ)みにされた。


名前を呼ばれただけなのに、バカみたいに胸が高鳴る。


平静を装って言葉を返し、自分の名前は“瑠璃の花”と書く事を説明した瑠花に笑みを浮かべた。


知ってるよ……


もうずっと前から知っていた瑠花に初めて見た時のあどけなさは無いけど、彼女の名前を理事長から聞いた日からそれを忘れた事は一度だって無い。


だけど、あくまで“初対面”の俺がそんな事を言えるハズも無く、名前の由来から瑠花の誕生月を訊いてみた。


完全に勘で尋ねた言葉は正解で、彼女は驚きの表情を見せて瞬きをしていた。


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