ラピスラズリの恋人
織田さんと一緒に式場や教会の最終チェックを済ませ、今後についての話し合いも滞(トドコオ)りなく終わった。


懸念(ケネン)していたトラブルも特には無く、彼に誘われて社員達とともに摂った夕食は、和やかで賑やかな物だった。


「織田さんはご結婚されているんですね」


以前の顔合わせの時は気付かなかったけど、織田さんの左手の薬指にはリングが収まっている。


それを一瞥(イチベツ)してから言えば、彼は小さく笑って首を横に振った。


「え?でも……」


首を傾げると、織田さんが左手の薬指に視線を遣った。


「これのせいですね」


それから、彼はフッと苦笑を零した。


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