ラピスラズリの恋人
キリの良い所まで仕事を片付けた俺は、相模に後を任せて帰宅する事にした。


奥の壁がガラス張りになっているエレベーター内は、街に沈んでいく夕陽によってオレンジ色に染まっている。


駐車場に向かう途中で瑠花に電話を掛けたけど、何となく予想していた通り繋がらなかった。


スピーカーから流れるアナウンスが、彼女が電源を切っている事を告げている。


不思議に思いながらも車を出し、渋滞に巻き込まれながら街を抜けていく。


ノロノロと進む周りの車に感じるのは、焦り混じりの苛立ち。


滅多に抱く事の無い感情は、瑠花に会いたいと思う程に大きくなって…


ふと我に返った自分(オレ)を、苦笑させた。


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