ラピスラズリの恋人
直接、瑠花の家に行ってみようか……


思い付いた直後、車線を変更しようとウィンカーを出し掛けた手が止まった。


視界の端に入って来たのは、瑠花と出会ったあのホテル。


今日って、確か……


浮かんだ疑問をすぐに消化した俺は、思わず小さな笑みを零す。


本当に何となく、だった。


それでも、頭の中を過ぎったその予感を信じてみる事にした。


再び自宅への道を走りながら、今度はどうしたものかと考える。


瑠花にとっては純粋に喜ぶ事は出来ないかもしれない、“今日”と言う日。


傷付いた彼女が、そもそもこの事を覚えているのかはわからない。


だけど、きっと――…。


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