恋に恋して恋をする。
「それに俺、好きだよ」


「えっ!?」


「秋。」


あぁ……秋、ね。


そーですよね。あはは……びっくりした。


「きっとさ、皆覚えてるんじゃないかな」


奏くんは私の隣に立って、手すりに肘をかけた。


「小島さんたちすごく仲良いじゃない?」


「うん、まぁ、そう、かな?」


「うん、仲良く見える。だから、ちゃんと覚えてるよ」


今度はふんわりの方の笑顔で笑う奏くん。


「小島さんが無視しろとか言うから、言い出せないんだよ」


「そんな言い方してないよぉ」


次はまた子どもみたいな笑い方をする奏くん。


優しいのか、意地悪なのか、一体どっちなのよ……?


中庭の片隅にひっそり植えられたコスモス。


そよそよと風に揺られる姿は遠くから見ると、本物の桜のように見えて来た。


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