君と私。
「だからっ!蒼ちゃんのせいなの!」
大きな声で言うと、蒼ちゃんはポカーンとした表情で見てくる。
「…俺、なんかした?」
「知らない!」
「知らないって…なら何?八つ当たり?」
「そうっ!蒼ちゃんの、バカっ!」
「…はいはい。」
呆れたように言う蒼ちゃんは、止めていた自転車は動き出す。
「ばか、ばか、バカっ!蒼ちゃんの大バカもの!」
私がこんな行動を取るなんて珍しい、と自分でも思う。
けど、私が知らない蒼ちゃんなんて、嫌だった。
「…葵が、知らない蒼ちゃんなんて、嫌だよ…」
久しぶりに大声をだしたせいか、それとも滅多に怒らない自分が疲れたのかしらないが、私は蒼ちゃんのおなかにまわしていた腕を強めて、背中に顔をすりつけた。
「ん?なんか言った?」
「え、私なんか言ってた?」
も、もしかして…今の口にだしてた?!