涙ペットボトル



あたしは、とぼとぼと一人で帰ろうとした。






逃げたかった。





優太くんたちがいる方向とは逆に
歩き出した。






「待てよあかり」



え…………………?だれ?



誰かに手を握られて


あたしは、振り返った。




そこにいたのは優太くんだった。




「ゆ…優太くん?」




「何帰ろうとしてんの?」



「いや別に」



「何かあった?」



優太くんが心配そうにあたしの顔を覗き込んだ。




やば──。涙出る。




あたしが下を向いていると


────ギュ─────



優太くんがあたしを抱いた。





顔は、優太くんの胸の中にすっぽり

入った。





優しく包み込んでくれる。





あたしは、おもわず泣いてしまった。




「ふ…………えぇぇ」



「大丈夫だから。」






なんでだろう。





外は暑いのに。





優太くんは、あったかくて


冷たかったあたしを



あったかくしてくれた。













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