涙ペットボトル



………………。


「あかりっ!」


………あれっ?


君に似ている向日葵が数えきれないほど
咲いていた。


黄色い向日葵の中、優太くんがこっちに
手を振っていた。


「ゆ、優太くん」



「あかりっ!こっちこいよ」



笑顔で手招きをしていた。


「いま行くよっ!絶対行くっ!!

そこで、まってて!!優太くんっ!」


「待つにきまってんじゃん!

あかり変なの!」



「なんで?!あたし、優太くんに
おいてかれちゃったもん!

だから待ってて、すぐ行くから!」



「待つよ。いつでも。

あかりを守るよ」


涙が溢れた。


一歩、一歩、一歩


向日葵の中を歩く。



「優太くん、やっぱり、待ってて
くれたんだ!よかった!


大好きだよ!もうあんな思いさせないでぇ!」



歩きながら言った。


だけど、



「ちょっと!優太くん!
待っててよ!」


あたしがどんなに歩いても


優太くんには、近づけない。



「待ってるよあかり」


待っているのに離れていくばかり。


「おっ、お願いだからぁ!

待ってよ!意地悪しないで!」







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