穏やかな時間



穏やかな時間



 下らない事を長々と考えている最中、腕にそっと触れる他人の体温でふと我に返った。
 いつもの悪い癖が出てしまったなぁと後悔しつつ顔を右隣に向けてみれば、しかめ面した愛しい僕の彼女が、真っ直ぐに僕の目を見ていた。

 しかめ面だけど、目の奥は本気では怒っていない。むしろ僕の事を困らせようとしている意思が丸見えで、思わず笑みがこぼれてしまう。




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