Special Edition
「要、今日はおうちでご飯じゃダメ?」
さり気なく、後ずさりする杏花。
『誕生日に貸切レストラン』っていう
シチュエーションだけで感動する女性は多いのに、
杏花にとってそれは苦痛でしかない。
ますます表情は青ざめ、小刻みに震え出す杏花。
「杏花、もう約束の時間だし……な?」
「ヤダ!!………おうちに帰ろう?」
今にも泣きそうな程、瞳に涙を溜めて。
「今日は誕生日なんだから、祝われてればいいんだって!!」
「ヤダ~~!!今日くらい我が儘を聞いてくれるって言ったじゃない!!」
さすがに店内も薄暗いのはやり過ぎたか?
杏花の狼狽え度がハンパない。
俺は仕方なく、
「とりあえず、中に入って……それで嫌ならキャンセルしよう……な?」
「………」
「ん?」
俺が優しく抱きしめながら耳元で囁くと
「……ん」
渋々といった感じだが、杏花は小さく頷いた。
フゥ~~どんだけ嫌なんだよ。
俺は抱きしめる腕をゆっくり解いて、
杏花の手を握り、店のドアに手を掛けた。