Special Edition
「妬いてるって、バレバレよ?」
「ッ?!……椿」
俺の肩をトンと叩き、耳元で嫌味を言う女。
桐島蘭清の1人娘・椿(つばき)。
「うるせーよ」
「私にしとけば良かったものを……」
「フッ。それは、無理な相談だな。この世にお前1人しか女がいなくても選ばねぇよ」
「あぁ~っそッ!!それはそれは、ご馳走様!!」
「ってか、お前、F1レーサーはどうしたんだ?男を追いかけてイタリアに行ったって聞いたけど?」
「あっ、それね?あんなふざけた男、こっちから捨ててやったわよ」
「捨ててやったって、もしかして、地元に女がいたとか?」
「女じゃなくて、男がいたの!!アイツ、ゲイだったのよ!!」
「はぁ~?!」
「ふざけてるでしょ?!あぁ~思い出しただけで頭に来ちゃう!!イイ男、いないからしらねぇ~?」
華道家の1人娘というだけあって、
艶やかな振袖姿で会場内を優雅に歩いて行った。
幼い頃からアイツの事はよく知ってるが、
ホント、男を見る目が無いよなぁ。
椿の後ろ姿に苦笑していると、