Special Edition


「隼斗さん?」

「………ん?」

「さっき、誰かと話してませんでしたか?」

「あぁ、アイツと話してた」

「アイツって、………椿さん?」


俺の指差す方向を辿ったゆの。

一瞬で表情が曇り出す。


別にアイツに未練があるとか、そんな感情は微塵もないが

先程のお返しとばかりにゆのに――――。


「何を話してたか、気になるか?」

「えっ?…………そりゃあぁ………」

「じゃあ、キスして?」

「へっ?」

「ん?」


俺は悪戯っぽく腕を組んだ状態で頬を彼女に差し出した。


会場内には100人を超える人々が溢れ、

俺らのすぐ後ろをホテルスタッフが行き来する中、

俺は妻の愛情の深さを試そうとしている。


最近、ますますエスカレートしてると自分でも思うが、

こうして彼女の愛情を確かめたくて仕方ない。


6歳も離れている幼妻に対して、

俺がベタ惚れなのは事実なのだから………。



「ん」

「………自宅に帰ってからじゃダメですか?」

「ダメ」

「どうしても?」

「…………利子がつくぞ?」

「へっ?!」


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